ヌメ革とは?その魅力・歴史・製造行程やお手入れ方法、ヌメ革の特徴である経年変化(エイジング)を楽しむ方法などを解説。

そもそもヌメ革とは、どんな革?
まずは、製造行程や歴史などをお話しましょう。
ヌメ革の製造行程を解説
ヌメ革という言葉は最近ずいぶんと聞き慣れた言葉になっています。生活が豊かになり欧州など海外の皮革製品も容易に入手できる昨今では一般消費者の方々も色々なファッション素材を見聞きすることができます。そういった中で「ヌメ革」も昭和や平成前半の時期に比べてずいぶんと一般的になってきました。しかし今でも「ヌメ革」はその特徴や魅力的な要素から価格的にも高価な革で、ベーシックな牛革とは一線を画する分類の革となります。何がその特徴で、人気が有るのか?を順番に解説していきます。
まず、本来「ヌメ革」とはどんな革を指すのかですが、基本的には「植物系(ベジタブル)タンニン剤」だけで「鞣した(なめした)」ナチュラルな革。となります。鞣し剤には、「ベジタブルタンニン」や「クロム(鉱物系)」「合成鞣剤」などがあります。「ベジタブルタンニン」は字のごとく植物系のシブ(タンニン)で鞣します。「クロム鞣し」とは鉱物のクロムで鞣す製法です。植物系鞣しとクロム鞣しの違いは、天然由来成分と化学物成分との違いや製造に要する時間がクロム鞣しは時間が短縮され効率が良い。ベジタブル鞣しはじっくり時間が掛かる。クロム鞣しの皮革のほうが比較的堅牢性が優位。など、それぞれに色々な違いがあります。

ヌメ革は、自然界由来の植物系のタンニンを用いて、じっくり時間をかけて鞣した美しい革ですがどちらかと言えば仕上がりが素朴でデリケートなので傷などにも気をつける必要や、(後からお話する)表面などの経年変化が目に見える、お手入れを必要とするなどの特徴も併せ持つ皮革なのです。また、染料を基本的には使わない自然風合いのだけの色味の仕上げですが、染色ヌメ革と言われる、ヌメ革に仕上げたものに更にブラックやワイン色などに染色行程を加えたヌメ革もあります。
ちなみに「タンニン」というものですが、タンニンとは簡潔にいえば(ワインなどにも含まれる)ポリフェノールの一種で「収斂効果」がその特徴です。ワインや渋いお茶などを口に含むと頬の内側がキュッと縮まる感じ、あの作用をさせるのがタンニンです。革を鞣すということは、その「皮」を腐敗をさせずに丈夫で靭やかにすることですので、タンニン(ポリフェノール)を皮革の繊維に入れ込むことによりタンニンとタンパク質がしっかり結合し、隣接するタンパク質とタンニンとも結合してキュッと締まり密度を増して丈夫で靭やかな(しなやか)繊維にするのです。
ヌメ革の製造行程も一般的な革と同じですが、簡単に箇条書きでその行程をご紹介しておきましょう。
- 原皮=塩漬け加工が施されているので、それを水漬けしたり、水洗いして塩抜き。
- 大きな皮は(牛や馬)は皮の真ん中(上から見ると背中の背骨の線上)から半裁する。
- 石灰漬け。製革行程で重要な行程です。石灰に漬けると余分な汚れ・毛・表皮を溶かし過剰に不必要なタンパク質が除去される。また繊維がほぐれ、柔軟化し均一均質性を促す。
- タンニン剤(液)によって鞣し作業。この時の行程で鞣す液をどのような方法でするかによって違いがあります。ドラム鞣し=大きな洗濯槽のような「タイコ」といわれる樽に原皮とタンニンを入れてグルグル回して鞣す。ピット鞣し=大きな水槽のようなプールにタンニン液を満たし、そのなかに皮を漬け込んでゆっくりと鞣す。どちらにもメリット・デメリットがあります。タイコ・ドラムの場合は比較的短時間で鞣されます。ピット鞣しは徐々にタンニン液が染み込むので時間が掛かりますが、皮の奥底まで液が浸透し繊維が締まり堅牢性も高くなります。
- 水絞り。革を洗浄して水をローラーなどで脱水します。
- シェービング。シェービングマシンを使い、革の厚みを調整。
- 必要に応じて染色と加脂。
- セッター。水分除去と革を伸ばす行程。
- 乾燥。低温乾燥、真空乾燥、自然乾燥などを使い分けます。時間を掛けしっかりと乾燥させたほうが革に残った血筋(血管)などが見えにくくなります。
- (一般革などは)アイテム・使う用途に合わせて仕上げの為の塗装や起毛作業、厚み調整、摩擦磨きなど表面の加工を主に行い最終仕上げ。

次にヌメ革の「歴史」や、「革の種類」を簡単にお話します。
その前に「ヌメ革」の「ヌメ」って、何由来?諸説あるかもですが表面の風合いが「ぬめぬめ」しているなめらかな感覚・雰囲気から「ぬめり」という形容詞から転じて「ヌメ」とした「革」=「ヌメ革」とされています。このヌメリ感覚を感じるのは先程お話した「植物系タンニン」の作用そのものなのです。
そもそも人類が「皮」を生活に利用し始めたのは紀元前8000年頃まで遡ると言われています。その頃は獣(けもの)から皮を剥いで、腐らないように煙などで燻した皮を利用していたそうです。しかしこれだけでは柔軟性も無く、加工して色々な道具や生活品に利用できないので、(私達先祖が試行錯誤したのでしょう)植物から採ったシブ(タンニン)を用いて皮を鞣して革にする方法が紀元前3000年ころに世界各地で行われるようになったとされています。これが革(本革)の製法が確立した始まりだと言われます。

この時点(時代)から植物系タンニンで鞣す=現在の「ヌメ革」と同じ基礎行程が生まれたので「ヌメ革」は人類がは革として皮を本格的に利用し始めた当初から存在した「革(製法)」と言えます。ただ、その次代の革(ヌメ革)は科学的にどのような作用があってその製造行程を経ているのなど不明確で不安定でした。それから長い年月が経ち、1700年代半ばにイギリスで植物から「タンニンエキス」を効率良く抽出してその「タンニン剤」を用いて革を鞣す技術が確立されました。この時こそが現在でも柔らかく表情豊かで味わい深い「革の中の革」とも評され高価な革で風合いや魅力が最高とされる「ヌメ革」が誕生した「時・始まり」です。
それ以来300年以上の歴史を辿り現在でも「ヌメ革」は植物系タンニン剤を用いて時間をじっくり掛けた製法で作られています。
ここで少しお話が逸れるのですが、革と呼ばれる素材の種類についてもお話しておきます。
「革の種類」といっても区分けの基準を何にするかによって色々と違います。生物の種類で分けると「牛の革」「馬の革」「豚の革」「山羊の革」「羊の革」「ワニの革」「ダチョウの革」「ゾウの革」など、もっと書き加えると「魚の革」もが存在します。これらを大分類するならば「一般革」と「エキゾチック革」に分類しても良いでしょう。「一般革」=牛馬豚などの家畜系動物で比較的個体数も多く、生育管理が出来る生物が中心。「エキゾチック革」=ワニ、ヘビ、トカゲなど爬虫類系やエイやサメなど魚類系とダチョウやゾウなどとなります。
他に「革の種類」の区分として、先述している「鞣し」の加工方法によって分ける区分けもあります。「植物系タンニン」「クロム」、この2つを混ぜた行程の「混合鞣し」もありますし、植物系タンニン鞣しの抽出エキスを科学的な物質で生成して、その薬剤で鞣す「合瀬鞣し」というものあります。
また「動物の年齢」による区分けもあります。牛革が主ですが、生後半年未満の牛の革を「カーフ」、6ヶ月以上で2歳未満の牛の革は「キップ」と言います。2歳以上の雄牛の革は「ステアハイド」(一番供給量が多く、丈夫で安定した皮革を採取できる)と呼んだり、雌牛で出産経験している2歳以上の牛革は「カウハイド」と言われます。このように革にした牛の年齢でも区分けされるのです。それには牛革は年齢によりメリット・デメリットや特徴が大きく異なるからです。皮革を使用した製品でも「女性用の革手袋」と「野球グローブ」では、求められるものが違います。手袋は女性の手にも優しくで柔らかな革、グローブはどんな球も受け止められる丈夫で肉厚な革。同じ手にはめる革を使った道具でも用途が違えば求められる革(素材)も全く異なります。
他に「革の種類」(区分)としては、仕上げ方法でも区分け(名称)が様々につけられています。シュリンクレザー=革の表面を薬品で縮ませシワを寄せた革。オイルレザー=タンニン鞣しの後に、たっぷりとオイルを染み込ませた革。(イタリアのトスカーナ地方で製造されるバケッタレザーなどが著名)、ブライドルレザー=植物タンニン鞣しの後にロウ(蜜蝋など)を何度も浸透、塗り込んだ革。(当ブランド:ダヴィンチファーロでもメイン素材で取り扱い)起毛革=字のごとく、革の面をサンドペーパー等で磨いて起毛させた革で、ヌバック、スエード、ベロアなど革の表裏の違いなどで呼び分けされています。型押革=革の表面加工様々な模様で型を押して表現した革。金属の彫刻された型を革に熱と圧力で押した革で、その模様自体は無限にあります。クロコダイルに似せたり、ダチョウの模様に似せたり幾何学模様を押してみたりも可能です。
イタリアの「ヌメ革」 ヌメ革の最大の特徴「フル植物系渋のタンニン鞣し」
世界の三大レザーのひとつ「ヌメ革」のイタリアンレザー
世界の三大レザーといわれる、馬革の「コードバン」、牛革の「ブライドルレザー」、そして「ヌメ革」のイタリアンレザーです。フルベジタブルタンニン製法で鞣され革を「ヌメ革」といい、この革にさらに「バケッタ製法」というオイルを染み込ませたトスカーナ地方の伝統製法組み合わせた革などがイタリアンレザーと呼ばれ、世界中で愛用されています。このイタリアンレザー(ヌメ革)の中心となるトスカーナの皮革産業は欧州のラグジュアリーブランドの革製品を支えていると行っても過言ではないほど、とても重宝されています。

イタリアの革の出荷量は世界では16位前後で多くは有りませんが、その鞣しや染色の豊かさ、風合い作りの斬新性は他の国々の技術を凌駕しており、全般的な品質の優良さが認められています。この鞣しとオイル行程の組み合わせは熟練した職人が持つ卓越した技術が必要で、それこそがイタリアンレザーの名高さを表していると言えるでしょう。
イタリア植物タンニンなめし革協会ヌメ革の経年変化(エイジング・色の変化)について
ヌメ革ならではの「特徴」と「魅力」
一般的にも知られている「ヌメ革」の色が変わる現象を「経年変化」と言います。経年変化といえば、時間とともに物質が「劣化」していく過程のように聞こえますが、「ヌメ革」の経年変化とは、革の色が様々な環境に合わせてエイジングされる魅力や、その愛用者だけの自分らしいオリジナルアイテムに変化をしていく過程を楽しむことでもあるのです。
「使い込むほどに馴染むヌメ革と、その経年変化」については【ヌメ革の経年変化】の記事をお読みください関連記事:「使い込むほどに馴染むヌメ革と、その経年変化」については【ヌメ革の経年変化】の記事をお読みください
ヌメ革のお手入れ方法について
ヌメ革の特徴を最大に引き出すため、こんな「お手入れ」をしてご愛用ください。
自然な風合いや質感を大切にして仕上げた「ヌメ革製品」はその特徴やエイジングを楽しむための「お手入れ」も必要です。乾燥やひび割れ、日焼けなど、汚れや水滴に対しても気をつけるなど定期的なお手入れとご注意をまとめた記事をご案内します。
関連記事:【ヌメ革のお手入れ方法】の記事をお読みください。
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